NHK Hybridcastは現在、対応テレビがまだ比較的高額な一部機種に限られ、まだそれほど流通しているわけではない。またサービスを受けるにはブロードバンド回線に対応テレビを接続しなければならないというファクトがあり一般の認知はそれほど高くない。

 今回、筆者は自宅のリビングに設置したブロードバンド無線LANルーター NEC製Aterm WR8165Nの帯域やパラメーターをチューニングした上で、シャープ製液晶テレビ「AQUOS LC-52XL10」の無線LAN接続機能を用い、ルーター以降のIPパケットを無線化してNHK Hybridcastを利用した。

 回線はNTT東日本が提供するフレッツ 光ネクストの戸建て直収型である。液晶テレビに実装されたアクトビラ対応機能で、邦画などの最新作のハイビジョン作品の予告編を見て、画面がスムーズに再生され、途切れることがないかについて確認した。この環境がチェックされ初めて、「番組巻き戻し再生サービス」のテストが可能となる。データ通信速度は余裕を考えると8Mbpsの転送レートを下回らない通信品質が求められるという。無線LANでのハイビジョンによるVOD再生ができれば、デジタルテレビのブロードバンド回線接続はかなりハードルの低いものとなり、放送と通信の連携サービスを1台のテレビで実現することとなる。

 ここで、NHK Hybridcastの標準的サービスを述べておきたい。まず1カ月余り過去にさかのぼって表示できるEPG(電子番組表)が興味深い。過去の番組を実際に調べられれば見たかった番組も容易に思い出すことだろう。NHKオンデマンドでのタイトルとして視聴してみるのも一考である。なお現在は、過去のEPG選択番組から決定キーを押し過去の番組にアクセスして再生できるようなサービスは実現されていない。

 ニュースについては、自分の観たいジャンルや地域を予め設定すればテレビ本編と同時に一覧性を持つ画面構成にカスタマイズできる「スクロールニュース」が便利である。スクロールの表示速度も調整可能である。今年2月に首都圏や全国各地を襲った大雪情報なども、知りたい地域を調べて観ることができるようになるだろう。