先週は、米国でもビットコインで大騒ぎだった。

 日本に拠点を持つビットコインの取引市場「Mt.Gox」の自己破産のニュースが飛び込んできたと思ったら、ビットコイン創始者と言われる中本哲史(サトシ・ナカモト)氏の正体が明らかになったとニューズウィーク誌が報じたからだ。

 それまでも関心は徐々に高まっていたが、ビットコインはこれでもうナショナル・ブランドになってしまった感じだ。今やテクノロジー業界で働くギークだけでなく、ごく普通の人まで「ビットコインってどうやって手に入れるの?」と思うようになっている。あるプログラマーは車を修理に出したら、その店の従業員に「ビットコインのことを説明してほしい」と言われたと語っていた。

 Mt.Goxの破綻で、日本ではビットコインを規制下に置くというような話が出てきているようだが、シリコンバレーを見る限り、ギークたちはまったくめげていない様子。破綻が伝わった数日後に、地元のビットコインの集まりに行ってみたところ、話を聞いた参加者は「一つの市場がダメになったからといって、ビットコインへの信頼性がなくなったわけではない」と語っていた。そのうち何人かは、実際にMt.Goxで持ち金をなくしているにも関わらずだ。

 そして、この集まりは、もっぱらビットコインで起業しようとするプログラマーたちの交流の場として、なかなかににぎわっていたのである。

 しかし、Mt.Goxに対しては冷静だったギークたちが怒ったのは、ニューズウィーク誌の報道だ。同誌は何カ月もの調査の結果、謎の創始者であるサトシ・ナカモトをようやく見つけたとスクープ。だが、そのやり方が姑息で、ジャーナリズムの倫理を外れていると非難が集まった。