(ユーザー企業にて)

情報システム部 S部長:先週カットオーバーしたばかりなのに、もうバグが出たそうじゃないか。

開発会社のPM:軽微なものでしたし、そんなに心配いらないと思います。

S部長:100%テストするはずじゃなかったのかね。

PM:その通りです。100%テストしたと報告を受けています。

S部長:おかしいじゃないか? 100%テストしたのなら、なぜテストでバグを見つけられなかったんだ? 実は「ちゃんとテストしていない」なんてことはないだろうな。

PM:そんなことはないと思いますが、確かに説明が欲しいところですね。

(開発会社にて)

PM:今回は100%テストするということだったのに、「なぜバグを見逃したのか説明しろ」とS部長が言ってきている。本当は100%やってないんじゃないかと疑っているふうだった。

ITエンジニア:そんなことないですよ。約束通り新規の機能はちゃんと全部テストしましたし、手を入れたモジュールに関わる部分についてもテストをし直しました。考えられる限りを全部やりました。今回のバグは、想定外ですよ。そんなことを言い出したら、結局全部のテストをやり直さなければならなくなります。

PM:まあその通りだが、S部長は説明を求めてきている。もちろんテスト報告書に嘘はないわけだけど、単にテスト範囲から漏れていましたという説明じゃ、「不十分なテストをやりました」と回答するようなものだろう。そうじゃなくて、現実に実施できるテストとしては十分にやったことをちゃんと説明しないといけない。そうしたことをまとめておいてくれないか。

ITエンジニア:分かりますけど…。改めて十分だったかって問われると、そんなに簡単に答えられませんよ。現にバグが見つかったわけだし…困ったなぁ。

 これは架空のやり取りですが、皆さんのところで似たような会話がなされていないでしょうか。さすがに「100%テストしたのになぜバグが残っているのだ」などと言われたことはなくても、よく似た経験をしている方はいると思います。