仮想通貨「Bitcoin」の大手取引所「Mt.Gox」(マウントゴックス)が破綻したことで、メディアやネットは“Bitcoin祭り”の様相を呈している。一般にあまりなじみがなかったBitcoinについて、破綻以降は多くの報道やコラムが発信され、正確な情報が広く行き届くようになった。短期間のうちに、多くの識者がBitcoinに対して正確な見立てを持つに至ったという意義がある。

 その面で、Mt.Goxの破綻は「ひとつの時代」の幕開けを象徴する事件となった。この変化をなんとなくは理解していても、自分には関係ないと思っている人が多いだろう。しかしBitcoinが開いた新時代は、これから私たちの生活や仕事に大きく関わってくる。この機会にBitcoinタイプの仮想通貨について、個人が意識しておくべき用心という観点から解説したい。

Mt.Gox破綻の背景には何が…

 まず理解しておくべきは、Mt.Goxの破綻とBitcoin自体の信頼性にはほとんど関連性がないということ。Bitcoinは資産価値を保持しながら、Mt.Gox破綻後の今も流通している。

 これを例えるなら、セキュリティ上の不備があった「銀行」が、強盗あるいは横領などによって金庫が空っぽになり、破綻したということ。基本的にはこうした「銀行」の破たんが、通貨の信頼度に影響を与えることはあまりない。別の見方をすると、Bitcoinに価値があるからこそ、Bitcoinを狙った強盗もしくは横領などが実行されたことになる。

 Mt.Goxの一件との関係は不明だが、カナダのBitcoin取引所フレックスコイン(Flexcoin)でも2014年3月4日に、Bitcoinをサイバー攻撃により盗まれたという事件が起きている。