パソコンのOS戦争に敗れた後、1998年のiMacで存在感を取り戻したアップルは2001年にさらに大きな転機を迎えた。

 この年、アップルは買収したネクストのOS技術を元にした新OS、Mac OS Xを完成させた。ネクストの先進的なオブジェクト指向技術とMac OSの操作性と互換性を両立した画期的なOSだった。

写真1●2001年10月に米アップルが発表したiPod

 2001年秋、アップルはもう1つ新製品を発表する。携帯音楽プレーヤーのiPodだ(写真1)。当時、既にデジタル音楽プレーヤー製品はたくさんあったが、覇者と呼べる製品はなかった。iPodはわずか半年で市場を制覇し、2002年Windows互換版が発売されると、それまでアップルに関心を示さなかったWindowsユーザーたちも取り込み始めた。

 急速に伸びる携帯音楽プレーヤー市場にマイクロソフトも関心を示し、一部の国で音楽プレーヤーのZUNEを発売するも、iPodの人気は抑えることができず、市場の7割以上をiPodが占める独占状態を作り出したのだ。だが、これはまだアップルの反撃のほんの序章に過ぎなかった。

iPhone登場で激変のデジタルプラットフォーム

 2007年、アップルはiPhoneを発表する(写真2)。これはMac OS XをベースにつくられたiOSを搭載したスマートフォンで、人気のiPodの機能を搭載しMacと同じウェブブラウザ、Safariも搭載していた。これは幅広い業界に強烈なインパクトを与える革命的製品だった。

写真2●2007年、iPhoneのデモンストレーションをするスティーブ・ジョブズ