元ソニーのCIO(最高情報責任者)で、現在ガートナー ジャパンのエグゼクティブパートナーを務める長谷島眞時氏は、システム部門の役割が「稼働後の成果に責任を負うこと」に変わっていかねばならないと語る。システム部門は「システム投資の効果を最大化するプロ」になるべきだ。


 決められた日時(納期)までに、そして計画した予算内でシステムを開発し、無事にカットオーバーを迎えて大きな達成感を味わう。これまでシステム部門の仕事の醍醐味は、こんなところにあった。

 今までなら、それだけでもよかったかもしれない。しかし、成長の第3フェーズに入ったら、それだけでは足りないと言いたい。

 システム部門は、システムの稼働後に見定めることになる「投資に対するリターン(成果)」にまで責任を持ち、それを全うできるだけの組織に生まれ変わらなければいけない。

 システム開発は“成功”したが、システム投資としては失敗だった──。

 システム部門で働く人なら、こんな話を一度や二度は、耳にしたことがないだろうか。それに対して、これまでのシステム部門は「(投資の失敗は)自分たちの責任ではない」とか、「私たちは期日通りに予算を守ってちゃんとシステムを完成させた」と思って、遠い目で見ていたのではないだろうか。

 リターンに対する責任については、極めて消極的な関わり方しかしていなかったことが多いだろう。意図的に関わってこなかったということもある。

 言うまでもないことだが、システムが無事に完成したとしても、投資を回収できるだけのビジネス上の成果が得られなければ、それは「失敗だった」ことになる。