企業導入が本格化してきたタブレット端末。現状は顧客へのプレゼンやカタログ紹介などが中心だが、一歩進めて動画を取り入れる企業が増えてきた。広告・マーケティング分野でも動画を採用する動きが加速しており、2014年を「動画元年」と位置付ける業界関係者は多い。動画はアイデア次第で適用領域はいくらでも広がる。企業の効果的な活用方法を探った。

なぜ今さら動画なのか、もはや無視できない存在に

 商品の販促用に制作した、たった1本の動画が5億円以上の広告効果に─。タイヤのネット通販を展開するオートウェイは2013年11月、冬用タイヤの販促動画を制作してYouTubeに公開した。一風変わった表現手法がネット上でたちまち話題となり、動画の再生回数は累計700万回を突破。国内外の多くのメディアに紹介され、従来の広告展開では考えられなかった効果を引き出すことに成功した。

 これは極端な例に見えるかもしれないが、動画の活用で先行している米国では成功事例が相次ぎ報告されている。「500ドルで制作した動画をきっかけに口臭対策ブラシの販売数が100万本以上の爆発的なヒットを記録した」「靴の販売サイトで商品の説明動画を掲載した結果、コンバージョン(成約)率が最大30%向上して返品率も改善した」などである。

 日本も例外ではない。文具や家具の販売を手掛けるプラス ジョインテックスカンパニーも動画を積極的に活用する一社。同社は社内向けに会社の最新情報を5分で伝える動画を内製して毎週金曜日に配信するほか、2013年秋から顧客向けにも商品の特徴や使い方などを紹介する動画を配信している。そろえた動画は数カ月で約370本。「今後1~2年以内に2000本規模に拡充する方針」(伊藤羊一・ヴァイスプレジデント)で、ゆくゆくは紙のカタログの代わりとしていく構想を描く。