今年1月に正式規格として認証された無線LAN規格の「IEEE802.11ac」(以下、11ac)。通信に使うアンテナ数を増やすことで、最大通信速度を6.9Gbps(理論値)まで上げられる高速無線LAN規格だ。現行の11ac対応無線LANルーターでは、従来と同じアンテナ3本を搭載することで最大1.3Gbpsという通信速度が最大となっているものの、既存の11n(最大450Mbps)と比べると約3倍も速くなっている。また11acはアンテナ数を2本に減らしても最大876Mbps、1本でも最大433Mbpsと、利用者が多い11nのアンテナ2本を使った300Mbpsの場合よりも通信速度が上がる。このためノートパソコンだけでなくスマートフォンなど、無線LAN対応するさまざまな端末で11acへの対応が進んでいる。最後にパソコンとスマートフォンの対応状況を見ておこう。

 特に顕著なのは、パソコンの2014年春モデルだ。国内大手では東芝とパナソニックが、2014年春モデルの全製品を11ac対応に強化している(継続モデルを除く)。また、他社に先駆けて2013年夏モデルから11ac対応モデルを発売してきたNECも、定番シリーズの「LaVie L」や「LaVie S」などで11ac対応を拡充。上位機だけでなく、下位機でも11acを利用できるようにした。撤退を表明しているソニーのVAIOシリーズも、春モデルでは11ac対応機が登場している。大手では富士通だけ11ac対応モデルを発売していないが、「(今後)順次対応していく」(同社)と11ac対応には前向きだ。今後ますます、11ac対応が進むことは間違いない。

2014年春モデルから全製品11ac対応となった東芝(写真は「dynabook REGZA PC D834/T9L」)
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ビジネスマンの定番、パナソニックの「Let's note」シリーズも11acに対応した(写真は「Let's note MX3」シリーズ)
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11ac対応は上位機のみだった、NECのLaVie Lシリーズ。春モデルでは下位の「LaVie L LL750/RS」も11acに強化された
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