ここからは、IEEE 802.11ac搭載のWi-Fi(無線LAN)ルーターの新機種21製品を、各製品の特徴を見ていくためにメーカー別に紹介していこう。現在、11acルーターを日本で販売しているのは、国内メーカーではNECアクセステクニカ、アイ・オー・データ機器、エレコム、コレガ、バッファロー、プラネックスコミュニケーションズの6社。海外メーカーは米アップル、台湾ASUSTeK Computer、米NETGEARの3社だ。ここでは製品数の多い順に解説していこう。

コンパクトで高速!3種類の速度別にすべてそろえる:NECアクセステクニカ

 NECアクセステクニカは、4製品の11acルーターを販売している。1.3Gbps対応の「Aterm WG1800HP」、866Mbps対応の「Aterm WG1400HP」と「Aterm WF1200HP」、433Mbps対応の「Aterm WF800HP」だ(表1)。

表1 NECアクセステクニカの11acルーター
実勢価格は2014年3月中旬の大手量販店のもの。消費税5%の税込み価格。 *5GHzの11nの最大通信速度は150Mbps。
機種名最大通信速度(5GHz/2.4GHz)有線LANUSB実勢価格
Aterm WG1800HP1.3G/450MbpsWAN:1Gbps×1
LAN:1Gbps×4
USB2.0×11万3800円
Aterm WG1400HP866M/450MbpsWAN:1Gbps×1
LAN:1Gbps×4
USB2.0×11万800円
Aterm WF1200HP866M/300MbpsWAN:100Mbps×1
LAN:100Mbps×3
なし9970円
Aterm WF800HP433M/300Mbps*WAN:100Mbps×1
LAN:100Mbps×3
なし6570円

 4製品のうち、上位の「Aterm WG1800HP」と「Aterm WG1400HP」はUSB2.0のポートを1つ備え、有線LANはギガビット対応でLAN側4ポートを備える(写真1写真2)。USBポートにはUSB2.0対応のハードディスクやUSBメモリーを接続して、ファイル共有ができる。1.3Gbps対応のWG1800HPは、1.3Gbps対応の11acルーターの中でも最もコンパクトな製品。写真のような縦置きのほかに、横置き、壁掛けも可能で、置き場所を選ばない。WG1400HPは866Mbps対応の製品。WG1800HPと11acの通信速度が違うだけで、機能は同じものだ。特徴は2.4GHz帯のアンテナを3本備え、最大450Mbpsで通信できること。1.3Gbps対応製品は2.4GHz帯でもアンテナを3本備えているのが一般的だが、866Mbps対応製品で2.4GHz帯で450Mbpsに対応するのはWG1400HPだけだ。

写真1 NECアクセステクニカの「Aterm WG1800HP」。1.3Gbps対応製品のなかでは最もサイズが小さい。
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写真2 NECアクセステクニカの「Aterm WG1800HP」の背面。USB2.0のポートを1つ備える。
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 一方、下位の2製品「Aterm WF1200HP」(写真3)と「Aterm WF800HP」(写真4)はUSBポートのないシンプルな構成だ。有線LANは100Mbps対応でLAN側が3ポートになる。Aterm WF1200HPは866Mbps対応製品で、2.4GHz帯は最大300Mbps。無線通信のNFCタグのシールが同梱されていて、NFC搭載のスマートフォンであれば、このNFCシールにかざすだけで、Wi-Fi接続の設定ができる。「Aterm WF800HP」は433Mbps対応の製品。5GHz帯のアンテナを1本、2.4GHz帯のアンテナを2本、それぞれ搭載する。5GHz帯のアンテナが1本なので、5GHz帯の11nは最大通信速度が150Mbpsになることに注意しておこう。

写真3 NECアクセステクニカの「Aterm WF1200HP」。866Mbps対応の低価格モデル。
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写真4 NECアクセステクニカの「Aterm WF800HP」。433Mbps対応のエントリーモデル。
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 NECアクセステクニカの製品の共通の特徴は小型なこと。その小型化を実現しているのがアンテナの独自技術だ。11acルーターは、すべての無線LAN規格に対応するため、5GHz帯と2.4GHz帯のアンテナを内蔵する。さらにMIMOを実現するため、複数のアンテナが必要になる。1.3Gbps対応の製品の場合は5GHz帯で3本、2.4GHz帯で3本のアンテナを搭載することになる。NECアクセステクニカではNEC独自の「μEBG」というノイズを遮断する技術と「μSRアンテナ」というアンテナの小型化技術を採用して、従来よりも性能をアップしながら、小型化を実現している(写真5)。

写真5 NECアクセステクニカのアンテナの小型化技術。上の基盤が従来製品のもので、赤枠の部分がアンテナ。下の基盤が現状の製品で、赤枠の部分がアンテナになる。
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 機能も豊富で、上位の3機種、「Aterm WG1800HP」「Aterm WG1400HP」「Aterm WF1200HP」は子機としても使用できる。子機の場合は、有線LANに接続した機器を無線化する、Ethernetコンバーターとして使用できる。2台をパッケージ化した割安の「イーサネットコンバータセット」も用意しているので、テレビやレコーダーなどの映像機器、デスクトップパソコンなどを無線化したい場合は、忘れずにチェックしよう。