自動販売機に近づき、コインを投入。商品サンプルの中から好きな商品を選び、ボタンを押す─。自販機での顧客の購買行動をITで解明するのが、清涼飲料メーカーのダイドードリンコだ。

写真●自販機に近づく顧客の視線の動きをデータで分析
写真●自販機に近づく顧客の視線の動きをデータで分析
[画像のクリックで拡大表示]

 同社が活用するのは、アイトラッキングと呼ばれる、人間の目の動きを捉えるITだ(写真)。自販機で商品を購入する顧客の視線や視点を見える化。その結果を踏まえて、自販機の商品サンプルの配置などを見直している。

 ダイドードリンコがアイトラッキングを採用したのは2011年末のこと。自販機だけでなく、商品パッケージやテレビコマーシャルについても、顧客モニター調査でこの技術を使い、顧客の目の動きを探っている。

 その結果を踏まえて、パッケージ上のロゴの配置や文字の大きさなどを調整した。さらに、顧客に強い印象を残すためにコマーシャルのコンテンツに工夫を凝らした。

 それらの工夫もあって、主力のコーヒー商品の売上高は増加。本誌推定で約20%の伸びが得られたとみられる。

顧客に聞いても分からない

 「お客様がどこを見ているのか分からない」。2011年末、ダイドードリンコ マーケティング部のメンバーたちは、頭を抱えていた。

 2012年9月に主力のコーヒーブランド「ダイドーブレンド」を大幅にリニューアルするに当たり、商品パッケージに加えて自販機の商品サンプルの配置も見直すことにした。自販機での購入状況を探るため、Webでのアンケートやインタビューを行った。