2013年秋から、FBIが摘発した闇オークションサイト「Silk Road」とのかかわりや価格の乱高下で話題になっていた仮想通貨「Bitcoin(ビットコイン、関連記事)」について、最大級の取引所「Mt.GOX(マウントゴックス)」が閉鎖し、混乱が広がっている(写真1)。WebサイトではMt.GOXのMark Karpeles CEOは今も日本にいて事態の収拾に奔走していると説明するだけで、何が起こっているかについて明確な説明はない。

写真1●Bitcoinについて混乱が広がっている

 閉鎖から間もなく“MtGox Situation Crisis Strategy Draft”と題する文書がインターネット上で公開され、これが数百億円分のBitcoinがMt.GOXから盗まれたとする報道のきっかけとなった。しかしFox Businessによるチャットでのインタビューで、Karpeles CEOはこの文書がMt.GOXによるものではないと回答した。

 Mt.GOXは閉鎖前の2014年2月7日からBitcoinの引き出しを停止していた。2月10日のプレスリリースで、「取引展性(Transaction Malleability)に起因する問題が生じていると判明したので対応を進めている」とした。当初Bitcoinのコミュニティーはこの口実に懐疑的だったが、2月11日にスロベニアの取引所BitStampでも同様の問題が生じたことで、いくつかの課題がみつかり修正された。2月15日にはBitStampが引き出しを再開したが、Mt.GOXは2月17日に引き出し再開のめどが立ったとしながらもそのまま2月25日に閉鎖に至った。

 閉鎖の一因と考えられている取引展性の問題を理解するためにはBitcoinの仕組みを理解する必要がある。Bitcoinプロトコルは手形の取引に似ている。新たに「採掘」されたBitcoinは新たに振り出された手形のようなものだ。