炎上するビッグデータ関連プロジェクトに、何らかの共通項や法則はあるのか。著名ブロガーでありイレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役のやまもといちろう氏と、ベストセラー「統計学が最強の学問である」著者で統計家の西内啓氏が、ビッグデータ関連プロジェクトの闇に斬り込む。

(構成:目次 康男=コンピュータ・ネットワーク局教育事業部)

最近、当初の計画通りに進んでいないビッグデータ関連プロジェクトの話題を聞く機会が増えています。関係者に話を聞いてみると、プロジェクトメンバーが想定していなかったところに地雷が埋まっていたり、壁が立ちはだかったりしているようです。

山本:そうですね。プロジェクトが進みはじめて、いい感じで加速し始めたところで、思わぬ壁が立ちはだかります。ほとんどは、技術的なものではなく、人間系なんですね。いきなり“ボスキャラ”と遭遇して、プロジェクトそのものが、にっちもさっちも進まなくなるケースもあるようです。

西内:仲間だと思っていた関係部署や取引先、時には自分の上司が炎上の種であることもあるようです。プロジェクトが始まってすぐに判明するのはラッキーな方です。データ分析が終わり、いざ行動に移す段階になってはじめて、「うわっ。こんなところに(地雷が)埋まっていたか」ということもあります。

例えば、どんなところに炎上の火種があるのでしょうか。

西内:ありすぎて、一言で示すのが難しいくらい。分かりやすい例としては、特定の業務を長年担当してきたベテラン社員が、プロジェクトを炎上させる原因になることがあります。例えば、在庫など物流系のデータを分析して最適な調達方法や数量が決まったとします。あとは実行に移すだけなのに、「自分の仕事に口を挟むな」と全力で抵抗する、とか。

山本:そのベテラン社員のことを経営層が信頼しきっていると、さらにやっかいになりますよね。客観的に見てデータ分析の結果が最良な方法を示していたとしても、社長がデータ分析の現場に「お前たちが何か間違えているんじゃないか」とか言ってきたり。こんなことなら、最初からデータ分析なんかしなければいいのに、って思いますよね。