ウィキリークスの創設者であるジュリアン・アサンジ氏、匿名通信システム「Tor(The Onion Router)」の開発者、市民活動家らによる座談会を書き起こした一冊である。インターネットを手にした我々は、コミュニケーションの民主化を期待していたはず。ところが、そのインターネットはいまや、あらゆるコミュニケーションを監視する全体主義の尖兵へと変貌。国家の検閲を受け入れ、個人のプライバシーや匿名性を侵食している─。これが著者らの主張である。

 知らず知らずのうちにインターネットを覆い始めた全体主義化の波をかいくぐって自由であり続けるには、技術に精通した「ハイテク反逆エリート」となるしかない。あらゆる情報を収集・蓄積・支配することで権力を拡大しようとする国家や多国籍企業の思惑に抗い、自由と民主主義を守るためには「暗号」で武装すべき。本書はそう強く呼びかける。

サイファーパンク


サイファーパンク
ジュリアン・アサンジ/ジェイコブ・アッペルバウム/アンディ・ミュラー=マグーン/ジェレミー・ジマーマン 著
松田和也 訳
青土社発行
1890円(税込)