バーチャリゼーション(仮想化)は一般に、従来はハードウエアと固く結び付いていたリソースをハードウエアから分離・抽象化することを指す。ここにきて、ICTのあらゆる分野に仮想化が広がっている(図1)。

図1●ICTインフラ全体に広がる仮想化技術
図1●ICTインフラ全体に広がる仮想化技術
ICTインフラのあらゆる場所、あらゆる利用場面で仮想化技術が使われるようになった。仮想化の対象も、サーバーから始まり、ストレージ、デスクトップ、アプリケーション、そしてネットワークへと広がってきた。
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 データセンターなどのサーバーを対象とした「サーバー仮想化」、ストレージを対象とした「ストレージ仮想化」、そしてネットワークを対象とした「ネットワーク仮想化」がある。加えて、データセンターについては「SDN」、通信事業者のネットワークインフラに関連して「NFV」といった概念も登場している。

 一方、エンドユーザーに近い部分に目を向けると、パソコンのデスクトップ環境を仮想化対象とする「デスクトップ仮想化」や、アプリケーション環境が対象の「アプリケーション仮想化」が浸透しつつある。さらに、モバイルデバイス自体を仮想化するソリューションも台頭している。これらは、「BYOD」を含めたエンドユーザーのコンピュータ利用環境やワークスタイルの変革を引き起こしつつある。

 こうした状況を捉え、「仮想化」を現在のICTインフラの在り方を象徴するキーワードとする技術者もいる。「アナログからデジタルへの移行を示す『デジタル化』と同じように、『仮想化』は広い技術の集合体だと捉えている」(NTTネットワーク基盤技術研究所 ネットワーク技術SEプロジェクトの相原正夫主幹研究員)。