コンプライアンス担当者は一読を

 1997年11月に自主廃業を決めた山一証券。その“敗戦処理”を引き受けてしまった12人の戦いを公私にわたって取材し、克明に再現した。

 致命傷となったのは、3000億円の簿外債務。その存在が、一般社員はおろか、取締役にも知らされていなかったという事実に驚く。

 私事だが、97年10月に山一情報システムの取締役に中間決算を取材する機会があった。大事の気配など微塵も感じさせない対応振りだった。翌月、「山一自主廃業」とのスクープ記事を見て愕然とした。

 あの取締役たちも、実は何も知らなかったのではないか、と今は思う。コンプライアンス担当者が震撼する内容。一読を薦めたい。

しんがり 山一證券 最後の12人


しんがり 山一證券 最後の12人
清武 英利 著
講談社発行
1890円(税込)