2020年の東京オリンピック。さまざまなウエアラブルデバイスが活用され、試合進行の状況や選手たちの情報がリアルタイムにデータとして入ってくる―。きっと日本のITを結集したイベントになるはずだ。

 これから数年、エンタープライズITのエンジニアが意識したいキーワードが「オムニチャネル」だ。オムニとは「すべての」という意味。消費者は今、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)や街頭広告、スマホなど、各種チャネルから情報を入手し、商品の購入を決断している。これからは、あらゆる販売チャネルをシームレスに統合し、顧客視点で消費活動がより便利になるよう支援していくことになる。

 次回の東京オリンピックのころには、消費者の購買活動はもっと便利になっているはずだ。すぐ思いつく例をいくつか挙げてみよう。

 例えば、ドラマで見た素敵なレストランにたまたま遭遇したAさん。写真に撮って画像検索したら、メニューと空き日程まで表示された。Bさんは、雑誌で気に入った洋服をスマホでチェックしておいた。百貨店の近くを通った際メールが届き、実物を見せてもらえた。Cさんはカメラが欲しくて友達に聞いてみた。量販店の店頭にいくと、既にその商品と共に評判の良いオプション製品が用意されていた。Dさんは電車の広告で見た美味しい鍋料理をSNSにつぶやいてみた。早速、長野県の農家から反応があり、収穫したばかりの新鮮な野菜が鍋のセットと一緒に届けられた―。

 リアルとネットの区別なく、場所や時間を選ばず、自在に顧客が消費活動をエンジョイできる。こんな感動体験を与えてくれる未来社会に欠かせないコンセプトがオムニチャネルだ。