スマートフォンゲームに力を入れるソフトバンクは2014年2月12日、中国でアプリマーケットを運営する中国企業に出資し、筆頭株主になったことを明らかにした。目的はソフトバンク傘下企業のゲームアプリを中国で流通させること思われるだが、海外のマーケット流通がシンプルにはいかない事情も見えてくる。

中国のアプリマーケットへも進出するソフトバンク

 ソフトバンクは昨年から、日本で最も人気の高いスマートフォンゲーム「パズル&ドラゴンズ」を提供するガンホー・オンライン・エンターテイメント(以下ガンホー)や、世界的な人気を博す「Clash of Clans」を提供するフィンランドのSupercellなど、人気ゲームを提供する企業を次々と買収している。

写真1●ソフトバンクはWandoujiaの筆頭株主になることを発表
写真1●ソフトバンクはWandoujiaの筆頭株主になることを発表
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 スマートフォンゲームアプリを提供する企業を相次いで買収している背景には、人気ゲームを提供した企業が爆発的に売り上げを伸ばし、急成長を遂げていることが挙げられる。ガンホー、Supercellともに順調に成長を続けており、ソフトバンク全体の決算にも大きな影響を与えているようだ。

 ソフトバンクは、スマートフォンのアプリ事業をさらに拡大するべく、2月12日の決算発表で新たな買収施策を発表した(写真1)。それは、中国の「豌豆莢」(Wandoujia)という企業の株を15%獲得し、さらに、出資比率を30%に高められるオプションも獲得したことで、筆頭株主になったというものだ。

写真2●Wandoujiaは2年弱で3億ユーザーを獲得
写真2●Wandoujiaは2年弱で3億ユーザーを獲得
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 Wandoujiaは中国でAndroid向けのアプリマーケットを提供している企業である。ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏によると、2012年4月からおよそ2年で、利用者が3億人を突破するなど急拡大しているとのこと(写真2)。ソフトバンクはWandoujiaへの出資により、Wandoujiaが運営する同名のアプリマーケットで、ガンホーやSupercellのゲームを中国国内に流通させ、売り上げを高める狙いがあるようだ。