カスタマー・エクスペリエンスを高める第一歩は、自社の弱点を探ることから始まる。自社の商品・サービスの提供方法で足りない点はどこか。それは顧客が、「不安」「不満」「不便」を感じるところにある。解決策を導き出せば、弱さは強さに変わる。今回は「不便」に注目し、フェリシモとポイントを取り上げる。

事例1:フェリシモ

図1●フェリシモは電子カタログを提供
図1●フェリシモは電子カタログを提供
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 かつて通販カタログは厚くて、カラーページに多くの商品が並ぶ豪華な“展示場”だった。ところが今では、「紙のカタログは、自宅に置いてあることがほとんど。仕事の行き帰りや外出先での空いた時間に、見たいと思ってもできない」と“不便”な代物扱いされることがある。

 通販カタログ販売を手がけるフェリシモは、このような顧客の不便さを、スマホやタブレット端末といったスマートデバイス向けの電子カタログの提供で解消している。同社は2010年、業界に先駆けて、紙のカタログを全面的に電子化したスマデバ活用先進企業だ(図1)。

 フェリシモはファッションブランドの「haco.」や生活雑貨の「kraso」、食品の「CHOU CLUB」など幅広いジャンルで商品を展開。紙のカタログを年間300冊、発行している。注目すべきはその徹底ぶりだ。

 同社は、すべてのブランドの顧客の利便性を高めるため、一部にとどまらず全ブランド全商品のカタログを電子化した。顧客はスマホとタブレットで商品カタログを閲覧し、そこから注文・決済できる。

 スマデバ向けの電子カタログには様々な機能を盛り込んだ。フェリシモが展開する多種多様なブランドのカタログの中から、興味があるものだけをすぐさま画面上に表示する「お気に入り」機能。1冊のカタログの中で、気に入った商品が掲載されているページをすぐに開くための「しおり」機能もある。