多様な業務をこなすオフィスワーカーを想定して端末に一定の汎用性が必要な全社員型導入と異なり、営業職やフィールド業務といった特定職種型のタブレット導入は、利用目的自体は明確なことが多い。後はその目的に沿って、工夫によりいかに導入効果を高めるかが腕の見せ所だ。

 ここでは特定職種型での導入上の工夫を三つ紹介しよう。(1)導入効果の見える化、(2)クラウド活用、(3)初期費用の抑制だ。

導入効果を詳細管理

 タブレットを外回りの営業社員に持たせる企業は多いが、導入によってどれだけの効果を得られたかを数字で示せる企業は少ない。オフィス用品大手の内田洋行は、自社の営業部門へのタブレット導入に当たって、詳細な数値を計測し効果を見える化した(図5)。

図5●内田洋行でのワークスタイル改革による従業員の行動の変化
図5●内田洋行でのワークスタイル改革による従業員の行動の変化
オフィス移転と同時に営業職の約180人に対し座席のフリーアドレス制とiPadを導入。スケジューラーの登録情報を独自ツールで分析し、導入効果を厳密に測定した
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 2012年2月に営業部門が新オフィスに移転するのに合わせて、座る席を固定しないフリーアドレス制を導入し、約180人の営業社員にiPadを支給した。顧客への商品説明や社内会議などに活用している。「直行直帰での業務が可能になったり、優れた提案書を共有しやすくなったりするなど大きな効果があった」(同社オフィス事業本部企画部の矢野直哉部長)。

 外出先でPC向けの社内業務システムにアクセスする際は、iPadから社内のノートPCにリモートアクセスして利用している。ノートPCは、外出時は営業社員1人に1個割り当てられたロッカーに保管するため、PCの電源をオンにしてリモートアクセスできるよう、ロッカー内には電源タップを引いてある。