丸紅が2014年4月から、米アマゾン・ウェブ・サービスが提供するIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)である「Amazon Web Services(AWS)」への全面移行を開始する()。本社だけでなく全世界のグループ会社も含めて、業務システムの全ITインフラをAWSに移行する計画で、最終的にはグループ全体で500台のサーバーをAWSに移す考えだ。丸紅のような大企業がAWSへの全面移行を決めるのは異例のことである。

図●丸紅のAWSへの移行計画
全世界で500台のサーバーをAWSへ移行
図●丸紅のAWSへの移行計画
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 丸紅は2008年に、日立製作所のハードウエアと仮想化ソフトを採用してプライベートクラウドを構築している。プライベートクラウドはまもなくハードの保守期限が切れるが、更新は行わない。プライベートクラウドで運用する150台の仮想サーバーは、AWSへ移す。まず4月に30台の仮想サーバーをAWSに移行し、残りの120台も順次移行する。プライベートクラウドに含まれない80台のPCサーバーも、ハードの更新時期が来たら、AWSへと順次移行する予定だ。

 「既存の物理サーバーをプライベートクラウドへ移行するのは容易だった。しかし150台もの仮想マシンが稼働するプライベートクラウドを更新するのは、検証や部門間の調整など非常に手間がかかる。これだけ手間のかかる作業を、ハードを更新する5年ごとに繰り返すのは割に合わないと考え、AWSへの移行を検討した」。丸紅 情報企画部の橘高弘一郎ITサービス推進課長はこう説明する。