いまだによく見かける表現に「~が悪い」というものがあります。私はなぜなぜ分析において、「~が悪い」の表現は禁句であると言っています。決して使ってはいけません。

 なぜかというと、例えば「センサーが悪い」といっても、状況がさっぱり分からないからです。以下のいずれにも取れてしまいます。

  • センサーの検知速度が製品の搬送速度にあっていないのか
  • センサーの検知範囲が狭いのか
  • センサーと検知物との距離が遠すぎるのか
  • センサーからの光軸が反射板に合っていないのか
  • センサーの感度が低下しているのか

 にもかかわらず、このまま「センサーが悪い」で議論を続ける人が多いようです。その場合、他の人が自分と同じように「悪さ」を考えているとは限りません。

 ある人は速度のことを「悪い」と考えているかもしれませんし、また別の人は距離のことを考えて「悪い」と思っているかもしれません。

 つまり、このまま議論を続けると、お互いの考え方にズレがあっても、気づかないで話が進んでいってしまう危険性があります。

 最近はものづくりに高品質が求められており、それはすなわち、技術的に高度なものが要求されてきていることにほかなりません。高度な技術を使いこなすには、ものづくりに関わる人々が、モノの捉え方やモノに対する考え方に緻密さを持たなければなりません。

 そのためには、漠然としすぎた捉え方や考え方につながる表現を許してはならないのです。

 みなさんの周りに「~が悪い」を連発する人はいませんか。そんなときには、ぜひ切り返してあげてください。

 「~が悪い」とは、何のどのようなことを指して言っているのですかと。

まとめ
 「~が悪い」を連発しても、具体的に何が悪いのか、人によって捉え方が違ってきてしまう。「~が悪い」の表現は使わずに、具体的に表現するようにする。