2014年2月4日、米マイクロソフトの新CEOとして、同社のクラウドプラットフォームを統括してきたサティア・ナデラ氏が任命された。「デバイス&サービスカンパニー」への変革を急ぐマイクロソフトにとって、ナデラ氏の就任はどのような意味を持っているのか。マイクロソフトの製品群や決算を振り返りながら、今後の動向を予測する。

クラウド部門の顔だったナデラ氏がCEOに昇格

 CEO職に任命される以前のサティア・ナデラ氏は、マイクロソフトのクラウド&エンタープライズ部門を統括するエグゼクティブ・バイス・プレジデントとして、既に同社のクラウド部門の顔となっていた人物だ。2013年6月の開発者向けカンファレンス「BUILD 2013」では、2日目のキーノートに登壇。1日目のスティーブ・バルマーCEO(当時)に代わって、2日目はナデラ氏が仕切る形となり、クラウドやサーバー製品、開発ツールなど多岐に渡る内容のキーノートを見事にまとめた姿が印象的だった(写真1)。

写真1●BUILD 2013のキーノート2日目に登壇したサティア・ナデラ氏
写真1●BUILD 2013のキーノート2日目に登壇したサティア・ナデラ氏
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写真2●WPC2013でもクラウド事業の最新状況をパートナー向けに披露した
写真2●WPC2013でもクラウド事業の最新状況をパートナー向けに披露した
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 2013年7月には、マイクロソフトによるパートナー向けカンファレンス「Worldwide Partner Conference 2013」のキーノートに登壇し、Windows Server 2012 R2のプレビュー版などをアナウンス(写真2)。2013年12月のLeWeb'13では、NSAが秘密裏に行っていたデータ収集に対し、マイクロソフトなど米大手企業が議会に反対の意を表明したことを受け、政府が信頼を回復することの重要性を訴えている(写真3)。

写真3●LeWeb'13で講演を行ったナデラ氏
写真3●LeWeb'13で講演を行ったナデラ氏
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 ナデラ氏のプレゼンテーションは、インド出身であることを感じさせないほど英語の発音が明瞭で、語り口も自信に満ちている。安心して聞いていられる話し手の一人だ。米国ではインド出身のIT技術者が急増しており、CEOや幹部がインド系ということも珍しくない。そういう意味でナデラ氏は、米国のIT業界における新しいトレンドを象徴した人物ともいえる。