日本最大級のクラウドソーシングサービスを手掛け、急成長しているのがクラウドワークスだ。サービスを開始した2012年3月以来、約2年でユーザー数は11万人を突破した。同サービスを使って仕事を発注した企業は、既に2万3000社に上る。

 そのクラウドワークスに2014年1月、新しいCTOが誕生した。システムインテグレータ(SIer)とソーシャルゲーム会社を渡り歩いてきた大場光一郎氏である。「伸びる業界、成長するサービスを支えるのが、何より楽しい」と語る。

 CTOの役目はエンジニアが働きやすい環境を作ることだと言い、そのためにも最新技術を使えるインフラ整備にはこだわるという。CTOの大場氏に話を聞いた。


大場さんは、SIerの伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)からソーシャルゲーム会社のグリーに転職し、そして今のクラウドワークスに移ってCTOになりました。このキャリアについて聞かせてください。

写真●クラウドワークスの大場光一郎執行役員CTO(写真:都築 雅人、以下同)
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 エンタープライズ系とネット系の両方を経験しました。そのなかで、システムに対する考え方が違うことを感じました。

 それを示すエピソードを紹介しましょう。CTCでの私の最後の仕事は、CTC自身がクラウド事業者として提供する、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)の開発でした。インフラの開発が完了した時、私は「さあ、これからサービス提供開始だ。頑張ろう」と思ったのですが、その矢先に「チームは解散する」と会社に言い渡されました。

開発チームの解散、そして退社へ

 開発が完了したら、チームは解散。これは完全にSIerの感覚です。システムが完成した後は、開発チームはなくなり、運用チームに引き渡すというものです。

 私は「サービスは本来、そういうものではない」と主張しました。「ユーザーの要求に対して、絶えずサービスを改善し続けないと、競合他社のサービスには勝てない」と上司に訴えたのです。その結果、返ってきたのが「分かった。その改善にあと何人月必要なんだ」でした。

 それを聞いて、痛感しました。SIerには、サービスを継続的に作り続けるという考え方はあまりなじまないんです。企業文化の違いでしょうかね。

 このことがよく分かり、私がこの会社でやりたいことはやり尽くしたかな、と思って退社しました。

次に入ったのがグリー。全く企業文化が違ったと思います。そこでは何をしましたか。

 グリーでは、エンジニアが効率よく開発できるような仕組みを作っていました。一言で言えば、継続的インテグレーションを実現するためのツールの導入です。