2013年8月にGoogleのサービスが2分間停止したときのことです。その間、世界のインターネットのトラフィックが40%減少したと報告されました。このほとんどがYouTubeのトラフィックだと推測されています。Googleは公表していませんが、各国のトラフィックのうちの相当高い割合をYouTubeが占めていることが、いくつかの調査から推定されています。

 ソーシャルメディアにとってYouTubeは重要なライブラリーとなっており、多くのSNSで動画が共有されています。同様にYouTube自身も動画SNSとして、活発な情報交換(動画の生成)の場となっています。今回はソーシャルメディアで重要度が高まっている「動画マーケティング」について解説します。

コミュニケーションとリープフロッグ

 「リープフロッグ(Leapfrog)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

 逐語訳をすると“蛙飛び”です。ある国の技術が通常のステップを飛び越えて一気に進展する状態を指して“リープフロッグ型発展”と呼ぶことがあります。

 例えば東南アジアやインド、中東など固定回線の整備が遅れている国で、インターネットへのアクセスに固定通信を使わずに最初からモバイル通信を使うといった事象が、それに当たります。利用されるデバイスはPCではなくスマートフォンが高い割合を占めます。

 通常のステップを経ずに“飛び越える”という考えは、日本を含む、いわゆる先進国の人々の見方であって、実践している国の人々からすれば「一番便利な方法を使った」のに過ぎません。リープフロッグという言葉を使う際のもう1つの側面として、通常のステップを経た先進国で“古い技術に固執する新しい技術への移行の弊害”として語られることもあります。

 多くの場合、先進国以外で発生することが多いリープフロッグが、日本のデジタルコミュニケーションの中でも生まれていると筆者は考えています。

 具体的に言うと、スマートフォンを持つ10代の90%以上が利用しているLINEがこれに当たります。この世代のほとんどはPCを日常的に使いません。キャリアメールや有料音声通話もほとんど使いません。初めて持ったコミュニケーションデバイスがスマートフォンというユーザーが大半を占めるこの世代では、LINEというアプリケーションだけで日常的な交流の多くが完結できるのです。