ソニーがVAIOの事業を手放すことになった。国内メーカーの中でパソコン事業を単独で続けているのは富士通と東芝、パナソニックなど、ほんの数社になってしまった。シェアトップのNECパーソナルコンピュータも実際にはその事業基盤はレノボに掌握されている状態だ。
Windows XPのサポート終了を間近に控えたインパクト、そして、消費増税など、さまざまな理由から企業向けパソコンの出荷は伸びているようだが、コンシューマー向けのパソコンはそうでもないようだ。
今後、“ソニーのVAIO”は手に入らなくなるが、VAIOがなくなるわけではない。「この春」というタイミングでは、今まで通りソニーのVAIOを入手することができる。極端なことをいえば、ソニーのVAIOを手に入れることができるのは、実質的にこの春がファイナルチャンスとなる。それがWindows XPのサポート終了というタイミングと重なるというのはなんとも皮肉な話だ。
ソニーを心から愛してやまないファンは少なくないので、ソニーが作ったVAIOを最後に買っておきたいという気持ちでパソコンの買い換えを検討するパターンも多少は増えて、コンシューマー市場の活性化に貢献することだって考えられる。
危惧すべきはパソコンが廃棄されること
危惧すべきは、コンシューマーがWindows XPのサポート終了によって、パソコンの置き換えではなく廃棄ですませてしまうパターンだ。もうパソコンはいらないという判断をくだし、気軽に使えるスマートフォンやタブレットで代替するようになれば、それこそ、パソコンの国内ベンダーは、コンシューマーを相手にすることで収益を得られなくなってしまうだろう。そして、それは事業からの撤退に結びつく。慈善事業ではないのだから、ごく当たり前の成り行きだ。
XPのサポート終了は、パソコン置き換えの需要を生むかもしれないが、廃棄をうながす危険性もはらんでいるということだ。それによって、10年後に入社してくる新人のITスキルがガタ落ちになり、教育コストが激増するかもしれない。悩ましい話だ。
Windows XP終了まであと8週。
フリーランスライター
当初、本文の最初の段落で「富士通と東芝だけになってしまった、といってもいい」とあったのを「富士通と東芝、パナソニックなど、ほんの数社になってしまった」に修正いたします。お詫びして訂正いたします。本文は修正済みです。[2014/02/12 17:00]