本特集では、Samba 4のActive Directory Domain Controller(AD DC)を利用した環境において、グループポリシーを設定する手順を説明していく。最終回となる第4回は、移動ユーザープロファイルのサイズ増大に伴って生じる、ログインやログアウト操作に要する時間の延びの抑制に有効なフォルダーリダイレクトの設定を取り上げる。

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(6-2)フォルダーリダイレクトの設定

 Samba3までは、ドメインの機能レベルがNTドメイン相当であったため、移動ユーザープロファイルのサイズが最大30Mバイトに制限されていた。それにより、よほど注意して利用しないと上限を超えてしまい、ログアウトできなくるという問題が生じた。しかし、Samba 4ではActive Directoryに対応したことで、Windows端末のOSがWindows Vista以降であればプロファイルのサイズに制約がなくなった。

 ただし、移動ユーザープロファイルはログインする際にWindows端末にコピーされ、またログアウト時にWindows端末からファイルサーバーに書き戻される(更新される)。このため、サイズが大きくなると、ログインやログアウト操作に要する時間が延びてしまう。

 これを避けるには、グループポリシーのフォルダーリダイレクト機能を利用するとよい。フォルダーリダイレクト機能では、移動ユーザープロファイルを構成する情報のうち、「ドキュメント」や「ミュージック」「ピクチャ」など一部フォルダーを、ファイルサーバーにリダイレクトする。リダイレクト先は移動ユーザープロファイルの領域としては扱われないので、ログインやログアウトの所要時間に影響を及ぼすことなく、ファイルサーバーの設定で許容されている量まで自由にファイルを保存できる。