ソニーは2014年2月6日、2013年度第3四半期(10~12月期)の決算発表会で、CEOの平井一夫氏がPC事業の売却について発表した(写真1、関連記事1、関連記事2、関連記事3、関連記事4)。
この発表を受け、2月7日にソニーの株価が一時1700円を超えるなど、株式市場はソニーによる抜本的な改革案を好感しているように見えた。その一方で、PC事業の売却が成立すれば、VAIO事業は独立した事業体である新会社によって運営され、ソニーからPC製品が消えることになる。これがソニーにどのような影響をもたらすのか、新会社とソニーの両面から考察してみよう。
事業売却したPCと、分社化しても継続するテレビの違いとは
ソニーはエレクトロニクス分野のコア事業の1つとして「モバイル事業」を挙げているが、ここにはスマートフォン、タブレット、PCが含まれていた。このうちPCについては2013年度中の黒字化を目標としてきたが、市場環境の変化などの理由で未達となり、日本産業パートナーズ(JIP)への事業売却を決断した(写真2)。
ただ、赤字という点ではテレビ事業も同様だ。赤字幅は縮小しており、市場拡大の兆しも見えるものの、赤字は10年連続になる見込みという。それでも平井氏はテレビについて「ソニーにとって重要な分野」と明言。2014年7月からは、ソニーモバイルコミュニケーションズやソニー・コンピュータエンタテインメントのような完全子会社にして事業を継続することになる。
テレビ事業について平井氏は、「たとえ分社化しても”One Sony”の精神は変わらない」と強調する。しかしPCについては、「VAIOの精神はソニーの他の部門にも引き継いでいく」と言及するにとどまり、「赤字事業の”止血”により収益改善を狙う」と語った。