問題の原因が特定できれば、解決策を考えるのはそう難しいことではありません。みんなで知恵を持ち寄れば、いくつもの解決策が出されることでしょう。難しいのはむしろ、それら複数の解決策から、最善の策を選ぶことです。

 解決策の決定には複数の人が関わり、何が最善策なのかを決めるときには混乱を伴うことが珍しくありません。意見の異なる者同士で争いになったり、声の大きい人の意見が通ったりと、各人が「正しさ」を主張していると、問題を解決するという本来の目的を見失ってしまいがちです。このような事態に陥るのを避けるために、納得感のある決定プロセスが求められます。これを「決定分析プロセス」と呼びます。

3ステップで進める

 具体的に、決定分析プロセスは、

STEP1 目的を明らかにする
STEP2 満たすべき要素を定義する
STEP3 複数案を評価する

という3ステップで進めます。

 決定分析プロセスとは、言い換えれば「選択」プロセスです。複数の策を評価し、目的を達成するためにより機能する策を選び出します。そのためには「何を達成しようとしているのか」に焦点を当てなければなりません。「何のための意思決定か」「それを実現するためにはどんな要素を満たすべきか」「その要素をより満たす案はどれか」といった問いに答えることが、決定分析プロセスの目的です。

 まずは、これから行なう意思決定の目的を明らかにします(STEP1)。何のために意思決定するのかを明確にすることによって、続くプロセスの「基準」を確立します。「プロジェクトの進捗が遅れている」という問題があったとき、意思決定の目的を「プロジェクトの納期を満たす」と設定するのか、「プロジェクトのコストを守る」と設定するのかで、解決策の評価が変化するからです。ここで意思決定の目的を明らかにしておかなければ、評価がブレてしまいます。

 目的が意思決定の基準として機能するためには、“具体的”でなければなりません。具体的でなければ解決策がぼやけてしまうからです。例えば、「プロジェクトの進捗をリカバリー(回復)する」という目的を設定したとしましょう。これでは、何が達成されればリカバリーといえるのかが曖昧なため、出てくる解決策もピントのずれたものばかりになってしまいます。