時給制で仕事量を調整

写真1●内山氏は独自のソフトを研究開発するためにフリーランスの道へ
内山 茂樹(うちやま しげき)
茨城大学工学部システム工学科卒。ITベンダーで工場の製造管理システムや通信回線サービスの契約管理システムを手掛ける。2012年、自作ソフトの開発・販売を志して独立。1979年生まれの34歳。

 「自分で研究開発したソフトを販売したい」。そのためにフリーランスの道を選んだのが、東京都稲城市の自宅でソフトの研究開発に取り組む内山茂樹(34歳)だ(写真1)。

 現在開発しているのはミドルウエア。スワップ機能を持たない安価なVPS(仮想専用サーバー)などでも、メモリーを共有させて複数のJavaプログラムを実行できるようにするものだ。現在、「ISSEKI」という名で自身のWebサイトでベータ版を公開しており、2013年夏には正式リリースする予定である。

 内山は2012年4月、10年間の会社員生活に別れを告げ、新ソフトの研究開発を始めた。とはいえ、生活のための収入は必要だ。そこでクラウドソーシングを同年8月から利用し始めた。現在は1カ月当たり15万~20万円を受注している。「それだけあれば、生活には困らない」(同)。

 内山にとってのクラウドソーシングの魅力は、労働時間に応じて対価が支払われる「時給制」という仕組みがあることだ。作業に費やす時間をあらかじめ見通せるため、ソフトの研究開発と現金収入を得るための仕事を両立させやすい利点がある。

 内山は研究開発に費やす時間を確保するために会社を辞めた。それにも関わらず、収入を得るための仕事に費やす時間が多くなってしまっては、それこそ本末転倒である。そのため、時給制の案件をスポットで受注するスタイルを貫く。固定報酬の請負案件には応札しない。発注者が成果物を検収し終わるまで拘束されるためだ。仕様があいまいな案件だと、作業時間も見積もりにくい。