高松空港から車で40分。フリーランスのITエンジニアである岡内勇(44歳)の仕事場周辺には、田畑や雑木林が広がっている。「唯一不便なのは、いまだに光ファイバーが届いていないこと。仕事には影響ないですけど」。岡内は笑顔でこう話す(写真1)。

写真1●故郷の香川県を活動拠点とする岡内氏
岡内 勇(おかうち いさむ) アイオーシステムズ
穴吹情報ビジネス専門学校卒。ジャストシステムなど、10以上のソフトウエアハウスなどで約18年間エンジニアを務めた後、2008年に独立。Web系システム開発を得意とする。1968年生まれの44歳。

 岡内は約18年のサラリーマン生活を経て独立し、活動拠点を実家に移した。とはいえ、一人でアプリケーション開発と営業を兼ねることは容易ではない。地方では顧客を開拓することも難しい。それでも岡内は現在、1カ月当たり3件前後のアプリケーション開発案件を手掛けている。

 コンスタントに仕事が舞い込んでくる最大の理由が、「クラウドソーシング」と呼ぶマッチングサービスの活用だ。2013年1月には、eラーニング用のアプリケーションの開発を、新潟県に本社を構える中堅教育サービス事業者から受注した。

 現在の岡内の労働時間は、1週間当たり約60時間。それ以外は、スキルアップなどに充てる。「サラリーマンの頃より収入は多少減ったが、生活には困っていない。自分の得意とする技術、伸ばしたい技術を生かせる仕事は、やりがいもある」と岡内は語る。