ご存知の方も多いでしょうが、ラノベは略語で正式にはライトノベルになります。ヘビーな問答はシステム開発の現場に関するインタビューを指したもので、具体的には「SEの達成感を伝えたくて『なれる!SE』を書いています、キャラには原型の人がいますよ」のことです。

 インタビューを受けている夏海公司さんは、既に11冊を出版している「なれる!SE」シリーズの作者で、「『萌えるSE』と『燃える営業』、永遠の闘い」という記事を読んで以来、気になっていた存在でした。

 7作目の『目からうろこの?客先常駐術』に対する質問の答えには、IT会社に勤務した経験を持つ作者ならではの凄味を感じました。以下に引用します。

 「半分は実体験を元にしています。あるSIerが構築・運用で入っていた案件で、その業者が途中で逃げ出しまして。その空いた穴を埋めるため、私を含む10人ほどのチームが入りました。

 とはいえ、やはり案件自体に無理があり、チームの一人が過労で倒れました。そこで代わりの業者を見つけ、引き継ぎ先を見つけて我々も撤退した…つまり、我々も逃げざるを得ませんでした」

 プロジェクトマネジメント(PM)について語っている部分も深く考えさせられるものです。作品の中に、PMの極意について「みんなが気持ちよく仕事できるようにすること」という答えがあるのですが、これに関する質問への答えの一部です。こちらも引用します。

 「この言葉は、以前に在籍していた会社で、先輩に言われた言葉を拝借したものです。『だから、納期は僕に任せて、君は気持ちよく仕事してくれよ』と。

 ITベンダーでは、いまだに単なる顧客担当者にPMという肩書きを付けるなど、PMを安易に捉える風潮があります。私もPMP(Project Management Professional)の勉強をしていたので分かるのですが、PMには体系化された方法論があります」

 衝撃的という意味では、多重下請についての筆者の経験談が一番強烈でした。

 「私がいたプロジェクトルームでは、どこの会社に所属しているか分からない人ばかり。私がメンバーの面談を行っていましたが、レジュメ(履歴書)を見ていると『半年前まで寿司屋でバイトしていた』といったような未経験者が多かった…」

 インタビューにはほかにも考えさせられる部分がいくつもあります。私は「なれる!SE」シリーズを読んでいません。インタビューを読んで後悔しています。