これまでプライベートDMPを活用したデータドリブンマーケティングについてご紹介してきた。合理的かつ効果的な手法であると感じていただいた読者もいらっしゃるのではないか。

 ただし実際にプライベートDMPを構築・活用するにあたっては課題も少なくない。今回は、プライベートDMP構築/活用における4つの課題に述べたい。それぞれの詳細は次回以降に解説していく。

課題1.プライベートDMP導入の必要性をどう伝えるか

 プライベートDMPは、自社にとって本当に必要なものなのか?従来のCRMシステムと何が違うのか?社内で説明・共有できないと、なかなか協力を得られないであろう。

 従来のCRMシステムでは既存顧客になってからロイヤルティ顧客に至るプロセスは可視化できたが、プライベートDMPではさらに、潜在顧客からロイヤルティ顧客に至るプロセスを把握できるようになる。

 これにより、顧客段階別のマーケティング投資の精度が高まり、ROI向上にも貢献できる。

 長年、物理的な効果測定の限界に苦しんできたCMO/マーケティング担当者にとっては念願がかなうわけだが、投資の意思決定をする経営層や、顧客データを入力する事業の現場の担当者にどう伝えるかには、工夫の余地があるだろう。

課題2.スコープの設定。どこから始め、どこまでやるべきか

 プライベートDMPが必要という合意が取れると、次は具体的にどのようなスコープで始めるべきかを検討する必要がある。スコープとは、プロジェクトマネジメントではよく使われる言葉だが、ここでは何を意味すると考えればいいだろうか。

 プライベートDMPのスコープは「インプット」「統合・分析」「アウトプット」の3つの要素で考えるとわかりやすい。