遠赤青汁は本社を愛媛県東温市に置く、青汁(あおじる)を中心とした健康食品を製造販売する企業である。青汁の素材となる緑黄色野菜「ケール」を自社有機JAS認定農場で栽培し、自社工場で加工して販売。農業・工業・商業の3産業にわたる事業を一貫して手掛けることで顧客の安心・安全に対する要望に応えている。2000年より、愛媛県内の耕作放棄地を借り受けて有機農場として再生利用する「地域再生事業」を展開中で、地元の農業復興にも力を注ぐ。

 高岡照海社長(写真1、2)率いる同社が、自社工場で製造した商品は、全国百貨店における店舗販売、電話やインターネットによる通販、OEM(相手先ブランド製造)供給などを通じて提供されている。近年では青汁のほか、黒にんにく、石けん製造へ事業を広げ、台湾やシンガポールといった海外にも販路を拡大する。香港では四国物産展を主催して5年目を迎えた。

 同社はこうした事業展開に伴って各種情報システムを活用し、IT経営を実践してきた。経済産業省の「平成18年度IT経営百選最優秀賞」を受賞したほか、2007年から2013年までは中小企業IT経営力大賞の「IT経営実践認定企業」に選出。さらに2010年には中小企業IT経営力大賞の「全国商工会連合会会長賞」および「中小企業庁長官賞」を受賞している。

写真1●遠赤青汁の高岡照海社長
写真1●遠赤青汁の高岡照海社長
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●自社有機JAS認定農場に立つ高岡社長
写真2●自社有機JAS認定農場に立つ高岡社長
[画像のクリックで拡大表示]

どんなシステムもそれを使う人の意識が大事

 遠赤青汁がIT経営を実践する方針は明確だ。企業内ITコーディネータ(ITC)であり、遠赤青汁のCIO(最高情報責任者)である渡部一恵氏は「ITは人のつながりです」と語る。どんなに考えられたシステムを導入しても、それを使う人の意識が大事で、まず「人」を育て、その上で適切なIT投資を行うべきだという。渡部氏が自社のIT化に取り組む過程で、見えてきたものがこの「ITは人のつながり」という信念である。