(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)
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今回の回答者: アライドテレシス 第1プロダクトマーケティング部 辻 裕紀夫 田野 伸介 |
リピーターハブは、LANケーブル上を流れる電気信号を中継するネットワーク機器の一つ。昔はどのネットワークにもありましたが、最近は見かけることが少なくなりました。その理由は、スイッチングハブ(LANスイッチ)に“世代交代”した点にあります。
まず両者の違いを明らかにしておきましょう。リピーターハブは、あるポートから入力された電気信号をすべてのポートに伝えます。イーサネットでは電気信号が伝わる範囲を「コリジョンドメイン」と呼びます。この範囲にある端末は伝送路を共有して使用します。複数の端末が同時にデータを送信しようとするとコリジョン(衝突)が発生し、その原因となった端末は送信待機状態となります。コリジョンドメインの範囲は最小限に抑えるのが理想ですが、リピーターハブは電気信号をすべてのポートに中継するので、コリジョンドメインを分けられません。
一方スイッチングハブは、電気信号を必要なポートにしか流しません。電気信号からイーサネットフレームを組み立て、宛先のMACアドレスを見て、その機器がつながったポートにだけ送ります。つまりポートごとにコリジョンドメインを分割できる点で、リピーターハブよりスマートだといえます。
スイッチングハブは導入が増えるのに伴って価格が下がり、リピーターハブとの価格差が縮まっていきました。そして今ではスイッチングハブを導入するケースがほとんどになったのです。
今でもリピーターハブを購入する企業があります。例えば、広い敷地に構築した古いネットワークでリピーターハブを使い続けていて、故障したので同じ種類の機器に置き換えたいといったケースです。こうした企業の状況を考慮して当社には少数のリピーターハブ現行製品がありますが、近年その需要は大きく減少しています。このような企業のネットワークも、いずれはリピーターハブを使わずスイッチで構成するものに作り替えていくことになると思います。