恒例となった情報通信総合研究所の研究員との座談会。2013年は、ドコモによるiPhoneの販売や“スマホの次”のデバイスとして注目が集まったウエアラブルデバイスなど、様々な話題があった。2013年の通信業界を振り返り、2014を占う座談会を4人の研究員とともに実施した。

(司会、構成は堀越 功=日経コミュニケーション


堀越:まずは2013年後半の通信業界を簡単に振り返りたい。国内の競争環境の面では、なんといってもNTTドコモがiPhoneを導入に踏み切ったのが大きな変化だ。結果的に国内大手3グループで、端末、保有周波数がほぼ均等になった。各社、“つながりやすさ”に注力し、ネットワークの品質も3社でかなりの水準になっている。

岸田:歴史的に見ると当局による競争環境の整備は、もともと国営系の通信事業者1社が国としてのインフラを作り上げ、1社だけだと効率が悪くなるという面から始まった。その考えでは、通信市場を自由化し、新規参入事業者の数を増やすことが競争環境の維持につながっていた。

 ただ、そろそろ考え方を変えなければならない。通信事業は世界的に見ても、一つの市場の中に10も20も選択肢があることは実行上、成り立たない。効率を求めると自然に集約していく。国内では結果的に国内3グループになったが、競争が激しくないかといえば、そうではない。キャッシュバックの積み増しによるユーザーの奪い合いや“つながりやすさ”の競争など、非常に激しい。

 国内で「3強」になった一番の理由は、米アップルの「iPhone」だ。それは監督官庁による競争政策とはほとんど関係ない。当局の意図とは違うところで競争が形作られている。

2014年の通信を占う座談会