Windows XPのサポート終了に照準を合わせ、各社、古いパソコンから新しいパソコンにデータを引っ越しさせるサービスの提供を始めている。NECパーソナルコンピュータの「PC引越しサービス」もそのひとつだ。
サービスには3種類のサポート方式がある。訪問サポート、引取サポート、そして、電話・リモートサポートの3種類で、もっとも高額な訪問サポートで1万8000円だ。なお、このサービスの場合、引っ越し元としては、どのメーカーのパソコンでもかまわないのだが、引っ越し先は、NECパーソナルコンピュータのLaVieやVALUESTARに限定される。
一定量のストレージさえあれば、パソコンからパソコンにデータをコピーするのは簡単だ。このコラムを読んでいるような方は特にそう思うかもしれない。それでも、これだけの金額がかかる。でも、いったんそのサービスを提供する側に立てば、このくらいの金額を要求するのは当然だとも思うだろう。誰もがパソコンのプロフェッショナルではない以上、この価格でもリーズナブルだと考えるユーザー層がいるということだ。
データの引越だけでサービスが成立していいのだろうか?
その一方で、アップルのiPhoneは、引っ越しという点では秀逸だ。これはもうAndroidもかなわないし、パソコンも同様だ。買ってきて電源を入れて自分のアカウントでアクティベイトするだけで、数十分あればさまざまな環境が以前と同じになる。パソコンも、Windows 8.1以降は、SkyDriveなどのクラウド連携で、それに近い状況になりつつある。
今後、コンシューマーのパソコンがWindows XPからWindows 8.1以降になっていくことで、これらのサービスのあり方も変わっていかなければなるまい。そのときに考えなければならないのはデータの排他処理だ。バックアップや同期が当たり前に行われるようになったとき、複数の異なるデバイスから同じデータを読み書きしたときの整合性まで考慮したアプリケーションの設計が必要になる。もう、データがローカルにあり、それを自分だけが操作するという前提ではアプリが成立しないということだ。
こうした状況への対処は、BYODで個人用パソコンが会社の業務で使われるようになる今後の重要なヒントにもなるはずだ。
Windows XP終了まであと10週。
フリーランスライター