米金融界のマネーゲームの裏側

 著者は、米大リーグの“貧乏球団”であるオークランド・アスレチックスがデータを駆使して躍進する様子を描いた「マネー・ボール」のマイケル・ルイス。実は20代の頃に、米投資銀行のソロモン・ブラザーズで債券の営業マンとして活躍し、入社3年目で「凄腕野郎」と呼ばれた顔を持つ。

 そんな著者が1980年代の米金融業界における「マネーゲーム」の様子を余すところなく書き記したのが本書。米金融業界の、損が出ればお互いに責任をなすりつけ合い、儲けが出れば手柄を奪い合う生々しい様子を、投資銀行で働いた「内」の視点から克明に描いており、読み物として面白い。

ライアーズ・ポーカー


ライアーズ・ポーカー
マイケル・ルイス 著
東江 一紀 訳
早川書房発行
987円(税込)