前回まで、消費税率変更に伴うシステム更新プロジェクトに潜んでいる四つの「落とし穴」を紹介してきた。今回は残りの二つ「SI契約は経過措置の可能性あり」「8%対応はしばらく続く」について解説する。

落とし穴 5
SI契約は経過措置の
可能性あり

 システム部門が考慮すべき消費税対応は、システムの改修だけではない。ITベンダーと結んでいる契約についても確認する必要がある。場合によっては「払い過ぎ」になるからだ。

 国税庁は例外的な「経過措置」として、2013年の10月1日よりも前に契約した製品やサービスについて、2014年4月1日以降に納品する場合であっても税率5%を適用できるケースを定めている。その中の一つに、「工事進行基準を採用している場合」がある。請負契約で結んだシステム構築(SI)契約は、工事進行基準の対象になっているケースがある。

 この他にも、システム部門が関わる契約が経過措置の対象になるケースがある。富士通はSEや営業担当者に向けた文書で、「請負のシステム構築」に加え、「従量課金制のネットワークサービス」と「資産の貸付(ハードウエアの自社レンタル)」も経過措置の対象になると説明している。

 ただし、経過措置の適用条件は複雑で、ネットワークサービスや資産の貸付の全てが経過措置の対象になる訳ではない。財務部門や法務部門など社内の専門家を交えて検討し、消費税の払い過ぎに気をつける必要がある。

 一方、2013年以前から契約していたとしても、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)のように月額で利用料金を支払うクラウドサービスは、2014年4月1日から消費税率8%になるのが一般的だ。