今回の消費税率改定にシステム部門としてどのように取り組むべきかを見る前に、前回の消費税改定と何が違うのかを押さえておこう。違いは大きく4点ある(図1)。

図1●前回の消費税率改定時と異なる、システム部門の主な作業
図1●前回の消費税率改定時と異なる、システム部門の主な作業
[画像のクリックで拡大表示]

2ケタ税率に対応しているか

 まず、複数回の税率改定が前提となることだ。8%だけでなく、その先の10%への対応を視野に入れて計画を立てる必要がある。

 「10%への引き上げは、8%以上に不透明な部分が多く、具体的なプロジェクト計画として落とし込んでいる企業はまだ少ない」と、アビームコンサルティングプロセス&テクノロジー第1事業部長の中野洋輔執行役員は指摘する。しかし、8%への対応を済ませた後に、改めてプロジェクトを立ち上げるのでは、対応に十分な時間を取れない可能性がある。

 二つめは、税率が2ケタになること。消費税率として1ケタしか想定していないシステムの場合、2ケタを扱えるよう修整が必要になる。同時に、帳票やEDI(電子データ交換)といった関連システムを修整する必要も出てくる。

 三つめは、軽減税率が設けられることだ。軽減税率は、税負担軽減のために特定の品目などに対して標準税率よりも低い税率を設定する考え方を指す。税率が10%になる2015年10月に実施する計画である。

 軽減税率は詳細どころか、導入の有無もまだ決まっていない。しかし、「適用が決定した際には多くのシステム修整が発生する。特に消費税率が一律であることを前提としているシステムへの影響は大きい」と、プライスウォーターハウスクーパースの藤井一人パートナーは指摘する。

 四つめは、総額表示だけでなく外税表示も認めるという価格表示方式の変更である。消費税率の変更に加えて、外税表示に変える場合、大きなシステム修整が発生する可能性がある。