新人営業のD太君と先輩SEのM子さんの今日の訪問先は、FA機器を製造しているV社です。ネットワーク機器を更改したいということで情報システム担当のB取締役とFさんに製品を紹介したところいい感触を得ました。席を立とうとしたときに、「チーフ・デジタル・オフィサー(CDO)は、どんなことをする役員なのか」とB取締役が質問を投げかけてきました。

Fさん この製品がよさそうですね。もう少し、検討させてください。

D太 ハイ、発注のご連絡を待ちしています!

Fさん ところで、B取締役からD太さんとM子さんに聞いてみたいことがあるんでしたよね?

B取締役 そうそう。何でも、CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)という新しい役職が、米国に生まれているというじゃないか。どんなことをするのか、知っていたら教えてほしいな。

M子 Bさんは、米国でいうCIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)のお仕事をされていますね。CIOと比較すると、CDOの役割がわかりやすいと思います。

 CIOが担っているのは社内の業務プロセスを効率化することです。もう少し言うと、営業部門や生産部門、調達部門など社内の各部署間でデータがスムーズに行き交う仕組みを作って、業務スピードの向上を支援すること。それがCIOの仕事といえます。

B取締役 では、CDOの仕事とは?

M子 CDOの仕事は、デジタル技術を駆使して新しい製品やサービスを開発したり、既存の製品に付加価値をつけること。それによって事業を強化しビジネスの成長に寄与することです。

Fさん CIOの仕事の対象は、サーバーとかデータベースで構成される基幹システム。それに対して、CDOの仕事の対象は会社が作る製品そのものだと考えてもいいのではないでしょうか。

D太 ハイ、そのとおりです。CIOが目を向けているのはバックオフィス、CDOが目を向けているのはフロントオフィスと言っていいでしょう。

B取締役 デジタル技術を使って製品に付加価値をつけるというのは、具体的にはどんな内容なのかね。