「5年間で300億円を投資し、ヘルスケア関連事業の売上高を倍増させたい」。富士通の山本正已社長は記者会見でこう語り、医療分野におけるビッグデータ活用を推進すると宣言した(図)。2013年12月21日に「未来医療開発センター」を社長直轄で設立。この組織を中核に、2013年度に1100億円程度のヘルスケア関連売上高を、5年間で2000億円にまで伸ばす計画だ。
富士通が狙うのは、患者ごとの診療履歴や遺伝子情報に基づいて最適な治療を提供する「個別化医療」の領域。実現するには先進医療機関と提携し、遺伝的な病気と健康診断数値との相関関係など、ビッグデータを収集する必要がある。新組織はその受け皿という位置づけだ。
「産官学で共同研究する場を作り、データ収集や分析に関するノウハウを蓄積したい」と、未来医療開発センターの佐藤秀暢SVP(シニアバイスプレジデント)は意気込む。共同研究でたノウハウを、電子カルテシステムや病院間連携システムに組み込み、まずは国内で医療関連ビジネスを拡大したいとしている。