「グローバルビジネス拡大だ」「グローバル人材育成だ」──企業はさまざまなスローガンを掲げて、海外滞在プログラムやTOEIC取得点数により手当を支給するプログラムなどを実施しています。しかし最近では「笛吹けど踊らず」状態で、今一つ社員の反応が薄いらしいですね。

 また、海外駐在を打診しても、最近は行きたがらない人が多い、という話もよく聞きます。

 高度成長期においては海外駐在というと、エリートコースとして羨ましがられたものです。

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 「グローバルビジネス拡大」の対象国も、欧米先進国の場合が多かった。企業側としても、「将来の幹部として先進国の文化を学び、国際感覚を身につけて来いよ」的な、人材育成のための投資という意味合いも多くありました。

 ところが、最近では企業側にも余裕がなくなり、事情も大きく変わってきたようです。

 コストの高い日本人スタッフを海外出張や駐在させる目的は、急成長する発展途上国のエマージングマーケットで、拠点やサービス立上げ、コスト削減のためのオフショア開発拠点立上げや技術指導、というケースが多くなってきました。

 格安航空会社のLCCが出現し、自分のお金で手軽に海外に行けるようになりました。もはやエリートコースという雰囲気はなくなり、対象国も欧米先進国からエマージング諸国へ大きくシフトしています。出張といえどもビジネスクラスは使えずエコノミー格安チケットで団体ツアーと一緒。となると、割り切りのはっきりしている若い世代としては「大変な仕事のために、わざわざ海外は行きたくありません」となってしまうのかもしれません。