有機野菜などの販売を手掛けるらでぃっしゅぼーやは2013年6月、配送スタッフ約300人にスマートフォンを配付した。

写真B●らでぃっしゅぼーや情報システム部の鈴木康信課長

 同社は生協などと並ぶ食品宅配サービスの老舗。10万8000世帯の顧客を抱える大手だが、「ネット通販などで手軽に有機野菜を買えるようになり、競争優位が薄まりつつある」と、情報システム部の鈴木康信課長は心中、危機感を抱いていた(写真B)。そこで、スマホを活用して物流を高度化することに踏み切った。

 クラウド上で配送ルートを設計できるシステムを導入し、紙の地図を使ったルート管理業務を刷新。配送スタッフのスマホで、訪問する順番や顧客ごとの注意事項を確認できるようにした。

 さらに、基幹系システムとも連携させ、物流拠点におけるピッキング業務を効率化した。最初に訪問する家の商品を、最後にトラックに積み込めるよう、システムが手順を指示する。

 顧客にとってもメリットがある。スマホのGPSで配送車の所在をリアルタイムで把握できるため、「コールセンターに問い合わせれば、到着予定が即座に分かるようになった」(鈴木課長)という。

 イトーヨーカ堂やイオンなど大手がネットスーパーに注力し、ローソンもヤフーと組んで宅配サービスに参入した。らでぃっしゅが「家庭の玄関」を巡る競争で勝ち残るには、IT強化が欠かせない。