ほんの少し前まで使っていた機能が、故障でもないのに、突然使えなくなる。こんなおかしなことが、最近の製品では起こり得るようになっています。それは、ネットワーク経由で製品の機能を遠隔からコントロールできるようになっているからです。都合の悪い機能は、突然使用停止させることもできるのです。ブランク氏は「21世紀の消費者製品憲章」が必要だとし、試案を提示しました。(ITpro)

 21世紀の偉大なイノベーションの一つは、クラウドに接続され、自動的に更新や改良がなされる製品です。ソフトウエア製品では、ディスクやCDといった物理的なメディアで新しいバージョンを購入する時代は終わりました。ハードウエア製品では、新しい機能が自動的に追加され、時間が経つに連れ、製品が魔法のように改良されます。

 一方、マイナスの側面は、顧客の許可を得ることなく、販売済みの製品から特定の機能を一方的に取り除いたり、顧客が旧バージョンを利用する可能性を除去したりするときです。製品のアップグレードが簡単にできるように、ダウングレードも簡単にできるのです。

 アマゾンが書籍でそれを実行したときには警鐘となり、グーグルがそれをGoogle Mapsで実行したときは失望し、アップルがオフィス・アプリケーションでそれを実行したときはイライラしました。しかし、テスラは最近になって10万ドルの車でそれを実行したのです。

 ここに来て、「21世紀の消費者憲章」を考察するときが訪れました。

 2009年7月に、著作権侵害の提訴に直面したアマゾンは、顧客が既に支払いを済ませ、Kindleにダウンロードした2冊の本を、遠隔から消去しました。アマゾンは顧客に通知せず、もちろん許可も取らずに消去したのです。書籍あるいはコンテンツがアトム(物体)でなくビット(情報)であれば、誰かがコンテンツを変えたり、書籍を無くしたりすることが、顧客の許可なく簡単にできるという、ぞっとする警告でした(皮肉にも、アマゾンが消去した2冊の本とは、ジョージ・オーウェル氏の「アニマル・ファーム」と「1984」でした)。

グーグル――見栄えが良いから

 2013年7月にグーグルは、Google Mapsのデザインを全面的に変更しました。新しい製品は、置き換えられた以前の製品に比べて、デスクトップでもラップトップでも速度は遅く、これまであった機能が無くなっていることに、顧客は気付きました。新しいGoogle Mapsは、置き換えられた以前の製品よりも劣悪でしたが、唯一の利点は「ユーザー・インタフェース」で、見た目に美しく、全てのプラットフォームにわたって統一されました。「見栄えが良いデザイン」が目標ならば、グーグルは成功したと言えるでしょう。もし「使い勝手」と「機能性」が目標なら、新しいバージョンは後退していました。