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56歳の新人プログラマーが誕生した。東急ハンズの鎌田高志氏だ(写真1)。鎌田氏は以前、物流関連のシステム開発において、利用部門の代表として要件定義などに関わったことがあるものの、システム開発は未経験。それでも2013年4月にIT部門に異動し、プログラミングも含めたシステム開発に挑む。
「研修の課題をクリアしたことで、やっていける自信を持てた。職場の多くの仲間に喜んでもらえるシステムを作りたい」と鎌田氏は目を輝かせる。
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アスクルの若手技術者の藤本武氏は今、アジャイル開発の導入プロジェクトを率いる(写真2)。同社は今、開発体制や技術者のスキルセットの見直しを進めている。主力ビジネスとなりつつあるEC(電子商取引)のシステム開発を完全にインソーシング(内製)に切り替え、システムをスピーディーに改変できるようにする。
「ビジネス環境の変化に応じて開発の優先順位を変えながら、必要なサービスをタイムリーに出せるようになってきた」と藤本氏は手応えを感じている。
ビジネスのIT化が進んだ今、ユーザー企業で新たなタイプの技術者が必要になりつつある。ビジネスマインドを持ち、事業環境の変化に即応して主体的にシステムを作り改変していける――。多くの企業でそんな技術者を生み出す試みが始まっている。