ITが創造する新市場は他にもある。「3Dデータ」「BIM」「NFV」の三つを紹介しよう。

新市場5:3Dデータ
3Dプリンター活用を加速

 金型などの高価な設備を持たなくてもモノづくりを可能にする「3D(3次元)プリンター」。矢野経済研究所は、2015年には国内市場が77億円になると予想する。

 いま3Dプリンターそのものに加え、注目を集めつつある周辺技術が「3Dデータ」だ。

 3Dプリンターを利用するには、出力に必要な3Dデータが必要になる。実はここが3Dプリンター普及の落とし穴になる可能性がある。複雑な形状の3Dデータを作成するのは容易ではないからだ。

 そこで3Dデータの作り手と利用者をつなぐ電子マーケットが登場している。プロのクリエイターらが3Dデータを電子マーケットにアップロードしておき、利用者が気に入ったらその場で購入。後日、3Dプリンターで出力した品が利用者に届く。

 米国ではベンチャー企業のシェイプウェイズなどが、このサービスを提供している。日本でも9月に、同種のサービスが登場した。ベンチャー企業のカブクが手掛ける「rinkak」だ(図11)。

図11●3Dデータの流通を目指すサービス「rinkak」の概要
図11●3Dデータの流通を目指すサービス「rinkak」の概要
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 rinkakの特徴的な機能が「リミックス」である。3Dデータの作成者が同意すれば、ユーザーがその3Dデータをダウンロードし改変できる。著作者が再利用を許可するライセンス方式「クリエイティブコモンズ」に基づき、利用者は改変を加えた3Dデータを再び公開できる。最初のデータを基に、派生品を多数作れる仕組みだ。