「新事業を開拓せよ」。大企業のほとんどが、こうした目標を掲げるにもかかわらず、成功する例は極めて少ないのが実情です。今回の投稿では、米コカ・コーラの取り組みから、その難しさを学びます。コカ・コーラもブランク氏のリーン・ローンチパッド手法を実践し、考察を加えていますが、彼らの取り組みも緒に就いたところです。(ITpro)

 2012年に私は、アレキサンダー・オスターワルダー氏、ヘンリー・チェスブロー氏、アンドレ・マーキィス氏と一緒に、リーン・ローンチパッド手法と大企業のイノベーションの未来について考えました。そして21世紀に競争力を持つには、大企業は大変革をしなければならないという、かなり急進的な考えに達しました。その内容は、2013年4月1日にポストされた「大企業のイノベーションとアントレプレナーシップ」に記しています。そのブログに基づき、ある大企業の創造的な副社長が、世界的規模のイノベーション・プログラムを構築するとは考えもしませんでした。

 デヴィッド・バトラー氏は、米コカ・コーラのイノベーションとアントレプレナーシップ担当の副社長で、彼の任務は現状を打破するイノベーションを見つけ、アントレプルナーシップ文化を構築することです。以下の文章は、彼がどのように同社のイノベーションの未来を構築しているかを、述べたものです。

 イノベーションとは目標ではなく、そこに至る過程です。CEO、経営者チーム、株主の関心事は「成長」であり、それは 売上増加、より多くのユーザーの利用、市場占有率の増加、利益率向上を意味します。ですから、大企業の「イノベーション」部門が最初にしなければならないことは、「イノベーション」という言葉を、より金銭的価値のある「成長」に結びつけることです。この一つのステップが、イノベーション部門の目標をより明快にして、方向性を明らかにします。

 イノベーションには、成長の違いによって2種類があります。それは、継続的なイノベーション(小さくて段階的に拡大する成長で、予測ができる)と破壊的なイノベーション(爆発的で指数的な成長、非常に不確実)です。多くの大企業と同様に我が社も、段階的な成長をもたらすイノベーションには、かなり精通しています。私たちはそのようなイノベーションを見つける方法、必要な人材の配置、進捗状況の把握などを理解しています。

 昨年ころから私たちは、現状を破壊的に打破するイノベーション(既存のやり方を根底から変革する「ゲーム・チェンジング」など)に焦点を当て、指数的な成長をしたいと考えています。