時系列でITの歴史を分類するなら、今はハードの時代、ソフトの時代に続く、データセンターの時代なのではないでしょうか。クラウドの時代と言ってもいいかもしれません。

データセンターの構成を分散から集中へ、国内最大規模のL2ファブリック構築」を読んで、こう感じました。10年前なら、データセンターの内部構成を詳しく解説する記事自体存在していなかった気がするからです。データセンターが主役になってきた感じがするというのでしょうか。

 ハードの時代の勝敗は簡単でした。処理性能とコストだけを考えれば答えは出ました。ソフトの時代、-ここでいうソフトの時代はオープンシステムの時代と書く方が適切かもしれませんが―になって、優劣を付けるのはやや難しくなりましたが、それでも単一のシステムとして優劣を判断できました。

 データセンターの時代に、優劣を決める切り札は何になるのでしょうか。個別のハードやソフトではなく、考えるべきは施設全体の処理能力です。ネットワークの最適化はもちろん、サーバー群で見た可用性、徹底した自動化による運用効率の高さ、それから消費電力についても考える必要があります。

 現代のデータセンターは大量のハードを置いただけでは完成せず、さまざまなノウハウをつぎ込んで設計して初めて完成するものです。これからの企業ITにはデータサイエンティストが重要だという言葉をよく聞きますが、最高のデータセンターを設計する能力を持つ「データセンターサイエンティスト」とでも言うべき人材もまた、強く求められているのではないでしょうか。