自分の視点だけから考えない

 人間は、自分の視点の範囲でしか物を考えない傾向がある生き物である。技術者は技術者、営業マンは営業マン、夫は夫、妻は妻、上司は上司、部下は部下、日本人は日本人、というように、自分の立ち位置、知識、経験などに基づく、自らの視点だけからの物の見方に陥りやすいのである。

 自分の視点からしか物を考えられないスタンスは、コミュニケーションをする上で大きな障害になる。コミュニケーションというのは人間が互いに意思や感情、思考を伝達し合うことだから、自分の立場だけではなく相手の立場もよく理解していなければ、他者との意思伝達に失敗してしまうのは当たり前である。

 そういうことは一般的に知られていることなのだが、自分の立場からしか物を考えない傾向というのが、クリエイティブな観点からもボトルネックになるとしたらどうだろうか?

 価値のある何かを創り出すということは、他の人を喜ばせたり、感動させたりすることである。そのためには自分だけが喜んでいるような独りよがりなアイデアであっては意味がない。

 だからクリエイティブになるためには、自分だけでなく、他者の視点、立場をも考慮、あるいは想像できることがとても大切なのである。自分のワガママな欲求がたまたま世間の人たちといつも一致しているというラッキーな資質を持ち合わせている人の場合は別であるが、それはあまり多くはないだろう。

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