未来に「アンテナ」を立て、予兆をつかむ

 今回は、未来に「アンテナ」を立て予兆をつかむ考え方と、未来を「先取り」する戦略づくりの考え方について説明します。前回まで、シナリオのつくり方をお話ししました。その未来物語のどれが現実となるか、どうやって知ることができるのでしょう。

 結論から言うと、未来の予兆をつかむことで、どのシナリオが現実となるかを知ることができます。「未来は予測できないので、起きてみなければわからない」ではなく、「少しでも早く、どのシナリオに向かっているかを知ることができれば、対処も可能」というスタンスで考えます。これで、未来の見方も変わってきます。

 「少しでも早く、どのシナリオに向かっているかを知る」方法として、EWS(アーリーウォーニングサイン)のモニタリングが大切です。EWSとは、未来年表の前半に現れる予兆のようなもので、早期に警告するという意味です。シナリオごとにEWSを複数設定し、「未来にアンテナを立てた」つもりで、しばらく経過観察します。あるシナリオのEWSがたくさん発現しているようであれば、そのシナリオの方向に向かっているのではないかと判断するわけです。

 地球温暖化の一部の専門家たちは、1999年に、地球が温暖化していることのEWSを複数示しました。その後、こうしたEWSは世界中で発現していると警鐘を鳴らし続けています。このEWSには、「春の通常より早い到来」、「動植物の生息範囲の変動」、「サンゴ礁の消滅」、「干ばつと火災の発生」などがあげられています。

図8-1:シナリオのEWS(アーリーウォーニングサイン)
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